おしゃべり好きの佐和子先生を見て古傷を思い出す「にじいろカルテ」第2話-2
20代前半、私は手芸屋さんで働いていた。
平日の昼間に手芸屋さんに来るのは小さい子を連れた主婦さんやおばぁちゃんが主で
その中でもとりわけよくご来店されるおばぁちゃん3人組がいた。
知り合ってから最初の方はお互い「店員」と「お客様」としてよくある関係で、
しばらくすると作ったものを見せに来てくれるようになって、
またしばらくすると、もうその頃にはばあばと孫のような関係に近くなっていったのだと思う。
私もお客様だから無下に扱ってはいけないと思い、精一杯応対した。
見かけては声をかけ、手芸以外のたわいない世間話もし、また来てねと声をかけていた。
だが、しばらくしておばぁちゃんたちは手芸屋さんに来なくなった。
原因はきっと私が邪険に扱ってしまったことだろう。
いつも私を見かけて集まってきてくれるおばぁちゃん達に困ってしまったことが何度もある。(レジに人が並んでしまったり、他のお客様から質問をいただいたりしている時など)
接客業をやっていると、ご来店いただけるお客様には平等に接したいのが本音だが、忙しい時に声をかけられたり、他に済ませたい仕事があったりすると、それはお客様には関係ないことなのにいつもより接客が雑になってしまうこともあった。
きっとそんなことが続いてしまい、おばぁちゃん達は私と接するのが楽しくなくなって来なくなったのだろう。20代前半の私は大したこともしていないのに余裕がなかったのだ。
ドラマのそのシーンを見ていて、私は当時のことをありありと思い出した。
きっと真空先生もいつか困ってしまうのではないか、佐和子先生につらく当たってしまうのではないだろうか
結果、そんな心配は杞憂だった。
真空先生はどんな時も優しく電話に出てくれた。(時には出られないこともあるが)
人はこんなに優しく話しかけることが出来るのかと驚いた。
また佐和子先生からの電話の内容が、本当にたわいのないことであっても、丁寧に耳を傾けた。
やっぱり【芯】から優しい人って、こんなことが出来るんだなぁ。
私は「優しい店員」を演じていただけだったんだなぁ
優しく佐和子先生の話に耳を傾けた真空先生には、ご褒美もついてきた。
真空先生がつらく苦しい時に、佐和子先生が留守電に吹き込んだ「歌」に励まされたのだ。
もう涙が止まらない。
自分の過去にとった態度の恥ずかしさ
優しい真空先生に贈られた歌のプレゼントがもつ純粋さへの羨望
私も、単純な言葉ではあるが改めて「優しい人になりたい」と思えた回だった。
【余談】
今回じじーずの一人次郎さんが、病院の待合室にいる患者さん達に遠慮して、自分の体の具合がかなり悪いにも関わらず正直に言えなかった場面にも涙をそそられた。テレビの前で「ちゃんと申告してーっ」と叫んでいた。
やっぱりあのおばぁちゃん達にも遠慮させちゃったところもあったんだろうなぁ。反省。