ウィンストン・チャーチルを演じたゲイリーが好きだ

私は政治の世界に明るくないので、映画や小説、解説書など政治に関するものは避けてきた。

言葉が難しいし、色んな人の色んな考えが絡むし、時には歴史の背景も知っていないと理解できないこともあるだろうし、なので避けてきた。

 

だが「ウィンストン・チャーチル ~ヒトラーから世界を救った男~(邦題)」は観なければならない。ゲイリー・オールドマンが主役だからだ。

観てよかった。好きなとこだらけの映画だった。「モチベーションが上がらない時に見たい映画リスト」入れておくことが必要だ。

 

チャーミングな裏ピースと赤く染まるゲイリー

ハンドサインの一つである裏ピースはかなり悪い意味にとられるようですね。

中指立てに匹敵するほどのちからがあるとか。

記者に呼び止められ振り返りざまに裏ピースをして写真にとられるチャーチル(この時は裏ピースの意味を知らなかったらしい)、この新聞本当に欲しい。(この映画のですよ)この写真がチャーミングに見えて仕方ない。

 

チャーチルはVictory(勝利)の頭文字を意味してVサインをしていたという話もあるそうですね。

 

その後、事実と異なる戦況を伝えて国民を鼓舞しようとラジオで演説するのですが、ラジオ放送が始まった合図として部屋の中がランプで真っ赤に染まるシーンがあるのです。

ラジオが始まる直前まで自分の原稿の推敲を続けるチャーチル

自分の武器である言葉をぎりぎりまで研ぎ続け、それをねじりこんでくる様を不気味に赤く浮き上がらせるランプが印象的でした。

 

優等生を熱と理論で圧倒した最後の演説に至るまでのシーンが涙

ぎりぎり、いやもう崖から落ちて腕一本で細い気にしがみついてる状態にも思えるチャーチル。一人でエレベーターに乗ったり、地下道を歩いて帰る姿だったり、映像とゲイリーの表情から「孤独」がこれ以上無理だってくらいに伝わってきます。

 

ゲイリーの目がきょとんっ、というか視線を合わせない時というか、その時の目が好きなんですが、今回はその「目」が孤独を表現するために使われていた気がします。

 

大体優等生は地に足のついた理論を理路整然と説明し、「ね?僕間違ってないでしょ?」という視線で見てくる風な人に描かれることが多い気がしますが、この映画にもそんな人はちゃんと存在していて。でもこの話でいえば、あくまで間違ってないだけで、正しくはなかった気がします。

 

そんな優等生の意見に一度は苦し紛れに賛成しますが、チャーチルが国民から生の声を聞き、自分の考えは「正しい」と自信をもって演説をする最後のシーン、かっこよかった。孤独を演じていた時の目とは全く違い、どんどん光を宿し、人々の応援を受け、光を放っていくという移り変わりが見て取れた気がします。

 

うーん、力をもらったなぁ。

おかげでチャーチルにも興味が出てきたので、彼の演説集などがあれば読んでみたいと思っています。

大好きな映画が一本増えました。興味のある人も増えました。ありがとうゲイリー。